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準備中…
 


 

galleryMain 3Fにて

松川さくら2度目の個展
モノクロ 半切 15点展示予定





2Fにて同時開催
伊藤雅乃・岩瀬真悠子 二人展
「さび」と「さびしい」展


















































































 


 松川さくら      Matsukawa Sakura photo exhibition



『 動かない空 』



2011.10/21(金) - 10/31(月)※水曜休廊      14:00-20:00/平日   13:00-20:00/土日祝 (最終日18時まで)

※ 22日(土)17:00より交流会「海月の寝息」を開催します。どなたでもご参加いただける気軽なパーティーです。差し入れ歓迎


 


 artist comment   


長い手紙が届いている
溜め息をつき、読まずにポストへ戻す

六月の午後 小雨

東に見える山に雨雲が重くのしかかっていて、距離感がわからなくなる

バス停には灰色の影のような人々が、ポツリポツリと立っている
傘で顔が隠れて表情が見えない

あの人は傘を持って出たかしら 滴る雨粒を数える

バスの中は水分を含んだ空気で充満していた
乗客は皆 静か

曇った窓ガラスを指でこすると街路樹がふやけた
いつか見た光景 いつだったか思い出せない

長い沈黙
いったい何処を走っているのだろう

うんと遠くのどこか知らない街の事を考えてみる

「次、停まります」とアナウンスが流れ、ユラリと人が立った


gallery comment    

淡々とシャッターを切る。
彼女にとって写真を撮る事は呼吸をすることに近いのではないか

澱のように積もっていく毎日、1日1日が過ぎていく。
日めくりカレンダーが一枚一枚と日が経つほどに残りが減っていくように、彼女は自身の人生をカウントダウンしているのだろうか。「私にはこれしか無い」と言っていた彼女の言葉を思いだす。

呼吸をするように、日記を書くように、シャッターをきる彼女の写真から伝わってくる、生温かくどこか冷たい空気。静かに切り取られた日常風景には、特別何かが写っているわけでもない。しかし画面からじわじわと伝わってくる妙な空気には独特のものがある。
どこまでもフラットであろうとする風景と、ぎりぎりのバランスの中で生きている彼女、見る人はどこまでシンクロ出来るのだろうか。




 letters      
 


日記1

今朝、兄に子供が産まれ、叔母になった松川です。
カメラ置いてきてしまって、写真が撮れないかわりに、言葉が出てくるので、送ります。たぶん、個展まで続きますので、適当に読んで(読まなくてもいいですよ)いってください。

朝起きたら一番に
コーヒーを淹れる為に、お湯を沸かす

サボテンに「おはよう」と言って、カーテンを開ける。ちなみに、サボテンの名前は「イボンヌ」という

おは朝の天気予報をテレビを持ってない友達にメールでお知らせ
午後から雨らしいけど、傘持って出勤したかしら?

今日は上手くコーヒーを淹れることが出来たかもと思う。粉の中心がむくむくときれいに膨らんだのだ。

なんとなく、ラジオ体操をしてみる
「第二」が思い出せなくて、途中から流行りのエクササイズに変えた
ギンガムチェックのボタンダウンシャツに、チノパンを合わせ、靴下を履こうとしたら、ボーダーしかなかった
イボンヌに「行ってきます」と言って、玄関のドアを開ける
日差しが眩しい「もう夏だ」と思う



日記8

突然、友人に「犬みたいな表情してる」と言われ、犬化してる松川です。

真夜中の向こう岸
むんとする濃い緑の匂い
夏の夜目が覚めたら午前2時だった
眠れなくて思い立って、外へ出る
サンダルの音がひたひたと鳴る
川へ行こう
いつもは自転車で走る道を、そろそろと歩く
マンションにちらほらと灯りがついている
誰も歩いていない
それならと軽くステップを踏む
腕は波打つように
夏の湿った空気をかきわけて、動かす
完全に、身体も脳もゆるむ
ジャッと音がして
予想以上にビクつく
こんな時間に庭の水やりをしている、おじさんがいる
冷や汗をかく
コンビニの真っ白い明かりが見えてくる
客は2、3人いるだろう
1人客が、コンビニに入っていく
光に集まる虫を思い出す
車の来ない車道を渡り、川へと降りる
木も草も川も黒々としていて
サワサワと蠢いている
ゲコゲコとカエルが鳴く
ワンピースから出ている手足が、白く浮き出る
河原へでる
かすり傷ができている
川の音が大きくなってくる
空中を倍音が奏でる
整数が川面を流れていく
今日は月がない
新月だ
葉っぱで船を作る
どうか海までたどり着いて欲しいと
何艘も何艘も流す
何時間そうしていただろう
空が白んできた
もうすぐ夜明けだ
新しい旗を靡かせて
太陽が昇る
海に行った船に
海月の眠りが
引き込まれていく
鳥が羽ばたく
森がざわめく
草や木や川が
色を取り戻す
海へ行こう
無謀にもそう思って
フラフラと南へと歩き始める


日記9

手相にスキャンダル線(束縛されるのが嫌いな人)がくっきりある松川です。

長くて浅い夢をみる
巨大な水槽の中を泳ぐ
自在に跳んだり、跳ねたり、ワイヤーアクションのように泳ぐ
潜っていられる時間は4分間
魚は泳いでいない
何もない
ただ水で満たされてる
ひらひらとしたミニのワンピースを身に付けている
髪は金髪だ
扇子を持って、宙返りする
加速をつけて潜っていく
底を蹴って、高く舞い上がる
水槽に陽がさす
あと、一分半
幼い頃は、水が苦手だった
海へ行くと、空と水平線しかみえないことが怖くて、「鮫がくる」と言い、浜辺へと逃げていた
小学校低学年の時
水泳教室へ通わされた
私だけ一番初級のコースだった
最初は、プールの底にある石を拾う練習だった
息を深く吸い、水中に潜る
水をかき分けて、必死に手をのばす
届かない
水面へ上がる
もう一度潜る
何度繰り返しただろう
クロール
平泳ぎ
背泳ぎ
バタフライ
何時間泳いでも疲れなくなった
休憩時間に友だちとふざけて、コーチ(男性)に跳び蹴りをして、プールに落とし、ひどく怒られた
あと、30秒
水槽の向こう側に何人か人が立っている
小さな男の子が水槽に顔をくっつけて、不思議そうに見ている
音は何も聞こえない
傘を広げてイカのように泳ぐ
小学六年の時、学校の水泳大会で一位になった
クラス対抗リレーで三回泳ぎ、アンカーもした
そしたら吐いた
あと10秒
水槽の中央へと移動し、クルクルと回転する
やがて渦が巻き、のみ込まれていく
上を見上げると、キラキラと光が射している
意識が遠くなっていく
力を抜き、目を閉じる
体が水へと溶けていく
手や足がスルスルとほどけていく
やがて、水槽一面に白い粉が降る
スノードームのようだ
歓声があがる
溶けきって、緩んだ頭で小学校のプールを思い出す
歓声が遠くなる
不思議と怖くはない
沈みゆく意識は
海へと流れ
ジンベイザメと出会う

 

日記13

学生の頃、かに道楽でバイトして、まかないの生牡蠣にあたった松川です。

真冬の早朝の海を歩く
誰もいない
砂は真っ白でまるで雪のように見える
海は凪いでいる
ダイビングが趣味の知り合いが言ってた
静かな海は珍しい
めったに見れないと
ここが南の海だからかもしれない
北の冬の日本海なんて、凍てつくような寒風吹きすさぶ中、波が荒々しく打ち寄せて、何もかも飲み込んでしまうのだろう
それに比べたら、ここの海はなんて、穏やかなのだろうか
足跡が続く
少し肌寒い
ハァと息を吐く
白くならない
その事に改めて驚く
こんなにこの土地は暖かい場所だったっけ
冬の記憶を辿る
小学生の頃、一年中半袖で通学している子がいた
手袋やマフラーなんて、いらなかった
学生の頃、黒いロングコートが流行って、みんな着ていた
コートを脱ぐと半袖だった
いつから冬に慣れたのだろう
白い息を吐きながら、自転車をこぐ
部屋に戻り、温かいコーヒーを淹れ、湯気が立ち上るのに、ホッとする
朝、目覚めたら、とても静かで外が眩しいのに気付く
辺り一面、雪が積もってる
やがて、春が待ち遠しくなる
猛烈に太陽の光を求める
サクッサクッ
雪の代わりに真っ白い素直の上を歩く
朝日が昇る
波打ち際を転がるように、はしゃいで犬が走る
いつぶりかわからないけれど
まだ疲れなんて知らなかった頃のように
駆け出してみる